喪服の袂(たもと)の活用方法
お洋服のポケットはとても便利ですね。デザイン的に使うことの無いポケットもありますが、喪服ではハンカチが欠かせませんので、洋装時でもポケットは使う方が多いでしょう。
和装ではポケットがありません。しかし着物には袂(お袖)があります。この袂が洋装でいうポケットと同じ役目をしてくれます。大変便利です。
葬儀では、ハンカチやティッシュ、お念珠は欠かせません。すぐに取り出したいのに、バッグに入っているともたもたしてしまいます。
そこで、喪服の袂をポケットとして上手に活用し、必要なものをすぐに取り出しましょう。お袖は左右にありますので、ポケットは二つです。
着物の名称について
着物の名称についてお分かりにならない方は下記サイト様をご参考にお読みくださいませ。
今回は喪服の「袖口(そでぐち)」「振り(ふり)」と「袂(たもと)」という言葉が出てきます。解りやすく書かれているサイト様へリンクしております。
⇒ 着物の名称(街着屋~きもの遊び~)※楽天市場内ショップ
⇒ 所作や立ち居振る舞い01※男性の着物についての説明ですが分かりやすいです。
ひとつめの袂ポケット
まず一つ目(左右とちらでも構いません)にはハンカチとティッシュを準備しておきましょう。
1.ビニール袋に入ったティッシュを、袋から取り出しておきます。
2.ハンカチの間に、ティッシュを挟んでおきます。
3.「2.」の状態で、袂(お袖)に入れておきます。
ハンカチの間にティッシュを入れておく理由
葬儀では故人を想い出しては、涙があふれ出てきますね。お鼻が出てしまうことも珍しくありません。すぐにティッシュが欲しいのに、今は物音を立てられない。ティッシュのビニールがガサガサと音を立ててしまいますものね。
ビニールから取り出したティッシュですと、ガサガサと音を立てることがありません。必要な時に周囲を気にすることなくティッシュを使うことが出来ます。安心ですね。
使用したティッシュは、ハンカチの使用していないところに挟んでおけば、袂の中でゴミが散らばることがありません。お化粧室へ行った際に、ゴミ箱へ捨てることが出来ます。
未使用のティッシュと使用したティッシュを一緒にしたくない場合は、別にもう一枚のハンカチを用意しておくと良いでしょう。
ふたつ目の袂ポケット
もう一つの袂には、お念珠を入れておきます。お念珠袋に入れた状態で袂に入れても良いですし、気にならなければそのままお念珠を袂に入れても良いですね。
念珠袋に入れずそのまま袂に入れますと、ご使用の際に慌てることがありません。もしお念珠袋に入れたままの方がよろしければ、ご使用の際はお念珠を取り出しましたらお念珠袋を袂に戻しておきますと手が空きますね。
上品な袂ポケットの使い方
喪服の袂をポケットとして使えることが分かっても、どのように使ったらいいのかを知らないと、振る舞いが男性的になってしまいます。女性が袂から物を出し入れする際の注意点をお伝えいたしますね。
物の出し入れは振りから
お袖には、「袖口」と「振り」のどちらからも物を出し入れすることが出来ます。
袖口から物を出し入れするのは男性です。女性は袖口から物を出し入れすることはしません。何となく時代劇などから、袖口から物を出し入れしている男性のイメージが強いのですが、女性は致しませんので間違ってもお袖口からハンカチやお念珠を取り出さないように注意しましょう。
女性は振りから物を出し入れします。ポケットの出入り口は「振り」と覚えておきましょう。
この振りから物を出し入れする姿は大変上品に映ります。
体を大きく動かす必要がない為、周囲に迷惑をかけることがありません。葬儀で体を少しも動かすことのできない時でも、安心して振りからティッシュを出し入れできます。お席の後ろの方はティッシュを出したことに気付かないでしょう。静かにさり気なく行えますので、誰にも迷惑をかけずに済みます。
ご存じないお客様には必ずお伝えすること
この「袂をポケットとして活用することは、ほとんどの方がご存じありません。着付師の方でもご存じない方が多いと思います。
袂をポケットとして活用することは、普段から着物をお召しの方ですと当たり前のこととなっています。
今回ご紹介しましたお葬儀での袂の活用方法は、私自身の経験上からの内容となっております。お葬儀で喪服をお召しになります際、お役立て頂けましたら・・・と思います。
着付師さんは、お着付けの際にお客様へお伝えして差し上げてくださいませ。
葬儀でティッシュは欠かせません。本当に欠かせないものです。せっかく喪服をお召しなのに袂を有効活用できないのは大変残念です。悲しみのお席ですから他のことはお心に負担をかけずに済みますよう心より願って、お着付けの際にお伝えさせて頂いています。
女性用念珠・男性用念珠
ブラックフォーマル用ハンカチ
この記事はお役に立てましたでしょうか?よろしければシェアをお願いいたします。